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軽量化の観点から、鉱物資源などから作られる鉄などの部材から軽量鉄骨や樹脂などへの素材への代替がはかられたり、接合もボルトではなく接着や溶接になるなど、材料だけでなくその組み立て工程にも変化が起きています。“素材の代替”とそれに伴う“工程・工法の変化”という大きな変化が生じています。
素材の代替に関しては、上記の様に鉄のような素材から非鉄金属素材や、樹脂素材に変更する事で下記2つのメリットがあります。
- 1)素材として約1/5ほどに軽量化する事ができる事
- 2)一般的に代替素材などの方が加工や生産が容易である
くっつきやすい素材、くっつきにくい素材の種類や違いは?
このように素材の変化と同時に、接合や組み立てに関してもボルト以外に接着や溶接の選択肢が出てきます。素材同士をしっかりと接着できるかどうかについては、くっつける部材(被着体)のそれぞれがもつ表面エネルギーによって大きくわけられます。
“表面エネルギー”とは素材が持つそれで、一定の単位として表されその値から、高、中、低の3グループに分類することができます。一般的に表面エネルギーが高い値のものは粘接着剤がつきやすく、低いものはつきづらい性質を持ちます。
くっつきやすい
くっつきにくい
上記の様に、元々広範囲で使用されていた鉄などの素材は比較的接着が容易でしたが、素材の代替に伴い、難接着の中・低表面エネルギー群の素材が増えているため、それに伴って加工工程も今までのものとは変わるため、しっかりと確認が必要になります。
環境にやさしい!?”塩化ビニール”とは?
プラスチックの中でも耐久性が高く、加工をしやすく、さらにコストパフォーマンスにすぐれる“塩化ビニール”は昔から多くの製品・用途に使用されています。
そして、環境の配慮の面でも同素材は半分以上が塩(えん)、半分以下が石油資源と省資源の素材なのです。
塩化ビニールの種類とは
そして、塩化ビニールの中でも硬質と軟質に分かれます。“軟質塩ビ”というとなかなか耳慣れないかもしれませんが、柔らかく、レザーの様な見た目と風合い で、汚れがつきにくいので車輌内装だけでなくカバンやインテリア用品などでも 目にすることが増えたと思います。実はこの塩ビを柔らかくするために“可塑剤” を入れており、これが接着面から時間の経過と共に染み出してくるため、接着する際にはひと癖ある素材になり注意が必要です。塩ビ自体の表面エネルギーは中程度で難接着ではないのですが、 “軟質塩ビ”になると通常の接着では難しく特殊処理が必要になってきます。
接着や粘着への工程変更・設計変更をお考えの場合には、まずくっつけるもの(被着体)の表面エネルギーを認識する事でどのような製品を探せばよいかわかりやすくなると思います。その上で被着体それぞれの性質を把握していく事も重要です。
昨今の素材や工程の変化に加え、デザインや機能性など求められるものも大きく変わってきています。求められる製品や今後の方向性を明確にしておくと、素材探しに役立つと思います。
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また、本ブログでも紹介した軟質塩ビにも接着可能な耐可塑剤用両面テープ577SA-Lも展開しておりますのでぜひチェックしてみてください。