難燃軽量シート【開発中】
-Challenge- 熱暴走対策、航続距離の向上
EV(電気自動車)に搭載されるリチウムイオンバッテリー(LiB)は、高出力のエネルギーを生み出す一方、可燃性の電解液を含むため、不具合や強い衝撃が加わった際に熱暴走する可能性があります。
現在は発火しても熱と炎を車内に貫通させないためにLiBには鉄やアルミカバーに無機シートを組合せて使用されていますが、この組み合わせでは非常に重量があり、EVの航続距離に影響を与えます。
今後、EVの航続距離が向上するためにはLiBの大容量化が進み、さらに軽量化と安全性の両立が求められています。
-Solution- 難燃・遮炎・断熱性熱可塑性樹脂シート
積水はこれらの課題に対して、難燃・遮炎・断熱性を兼ね備える熱可塑性樹脂シートを開発しました。LiBの熱暴走に対応し、車両火災を防止し、周辺部材の自然発火による被害を最小限に抑えます。重量もアルミ比較で最大61%の軽量化を図れます。
-Technology- 技術情報
技術概要
難燃・遮炎 車両を火災から防ぐ2つの特徴
不燃性
自己消火性無着火・無変形
穴が開かない
炎に対する強い耐性爆発炎の影響を受けない
断熱
表面温度 ≦ 300℃
車両防火周辺部品の自然発火による損傷なし
軽量
軽量
最大61%の軽量化断熱材や接着剤が不要
技術詳細
難燃・遮炎
特性01
難燃剤を含まない不燃性樹脂
燃焼試験
【試験条件】 試験素材に火炎トーチを30秒間当てる素材を30秒間燃やす
素材に火がつかない
着火・変形なし
表面樹脂が炭化・膨張
内面は変わらない
特性02
遮炎構造3層シート
構造
どのように機能するか
- 1.最下層は LiB 発火 ( 火炎、活物質攻撃 ) を受ける
- 2.中間層が膨張・固化
- 3.トップレイヤーは炎に触れても強度を維持
セル暴走試験
【試験条件】NMC811/90Ahの実機セルをパックを模したカバーケースに入れサンプルを穴あき鉄板を2枚で挟み、LiBを熱暴走させて発火させて検証
【左】Rf. AL
2秒でカバーに穴が開き、炎が貫通
【右】積水開発品
裏面は1200℃に達したが、 穴あきや火炎の侵入は無し
2秒でカバーに穴が開き、炎が貫通
【右】積水開発品
裏面は1200℃に達したが、 穴あきや火炎の侵入は無し
断熱
表面温度 ≦ 内装部品の自然発火
火災試験
内装部品の自然発火
内装部品 | 発火点 (℃) |
---|---|
シート (ポリウレタンフォーム) |
415 ℃ |
フロアマット (ポリプロピレン繊維) |
400~570 ℃ |
フロアカーペット (ポリエステル繊維) |
490~560 ℃ |
軽量
ソリューション(積層構造)比較
積水 開発
ハイブリッドシート(オールインワン)
熱成型およびリサイクル可能な
ガラスマット強化熱可塑性樹脂
熱成型およびリサイクル可能な
ガラスマット強化熱可塑性樹脂
重量比較【1.5㎡目安】