FACES

1.これまでのご経歴と現在のお仕事について教えてください。

2015年に積水化学工業株式会社へ入社し、現在は、樹脂と無機物(フィラー)を混ぜて、双方の特性を掛け合わせたコンポジット製品について、技術検討や製品開発を行っています。具体的には、熱をうまく逃がすような性能を持った樹脂の材料を作っています。パソコンやスマートフォンって熱くなると動きが鈍くなったり、止まってしまったりすることがありますよね。それを防ぐために放熱材という製品があり、その開発を行っています。

大学では、光に応答する液晶性高分子について、合成から評価まで行っておりました。学生のころは手のひらに収まるくらいの量で実験していたのに、入社してすぐに何十キロ単位のスケールでお仕事をさせてもらったので、かなりギャップがありましたね。当時の上司にも、いろいろご指導いただきながら進めてきました。うまくやれているかどうかわかりませんが、楽しく仕事に取り組んでいます。私は一つのことをつきつめるよりは、いろいろなことを考えたりやってみたりする方が性に合っているようです。大学の研究も当社での仕事もそういうことができているのはありがたいと思います。

2.あなたがこれまでに一番すごいと感じたイノベーションとは?

一番すごいかはわかりませんが、イノベーションとは「もっとこうだったらいいのにな!」という強い気持ちが生み出すものだと感じています。私の周りには、イノベーションを推進する部署に異動を希望する方や、新規事業に興味のある方が多くいます。また、わかりやすいイノベーションでなくても、自分の担当製品に常に新しいアイデアを取り入れようと取り組んだり、新しいやり方を積極的に提案する人もいます。そういう人たちを見ていると、イノベーションを起こせるような人たちは「こうしたい!」という強い思いに向かって走っていってしまう、だからこそイノベーションが生まれるんだろうなと思います。

3.あなたがイノベーションに向けて挑戦していることを教えてください。

人とかかわるときに、なるべく相手のアイデアや意見、気持ちを否定しないように心がけています。可能性が検証されることもないまま反対されてなくなってしまうのはもったいないと思っているので、イノベーションや新しい取り組みを始めることに肯定的な雰囲気を常につくっていきたいですね。

イノベーションとまではいかなくても、新しい発想を持っていたり、仕事を良くしたいと考えていたりする人がいたら、なるべくその人のいいところが潰されないように、私ができる範囲ですけどサポートできたらと思っています。根拠なく、なんとなく否定されているだけなら、それを擁護できることも大事だと思うんですよね。また、MICでは、定期的に大学や企業等の新技術や、アイデア検討や思考法のセミナーが行われているので、なるべく参加して、発想をカチカチにしないように心がけています。 私自身が何かすごいイノベーションを起こせたらもちろんかっこいいのですが、せっかくイノベーションに向いていそうな人たちが身近にいるので、そういう人たちのイノベーションの芽を育てる関わりができたらうれしいですね。

4.あなたのONOFFスイッチは?

運動もかねて自転車で通勤しているのですが、結果的に体を動かすことでうまくONとOFFのスイッチが切り替わっているのかなと感じています。子どもと接するときはOFFになる気がしますね。というよりも、仕事モードのままだと子どもとのかかわりがうまくいかなくて、スイッチを強制的に切り替えているのだと思います。休日は子どもの習い事に付き添ったり、家族で過ごしたりすることが多いですね。今年の4月から子どもにピアノを習わせています。私自身も、幼少期にピアノを習っていたこともあって、子どもと一緒にピアノを弾くことも増えました。積水には各拠点に音楽クラブがあって、私も今の職場の軽音楽部に入会しています。コロナ禍でしばらく開催されていなかった演奏会が数年ぶりに開催される予定で、わたしもピアノを演奏できることになり、練習に励んでいます。