FACES

1.これまでのご経歴と現在のお仕事について教えてください。

父親が貿易関係の仕事をしていたこともあり学生時代から海外に行きたいと思っていたので、大学卒業以来外資系や海外企業で半導体パッケージ基板の工程開発、要素技術開発を行ったり、米国大手の顧客に対応するための量産工程立ち上げのプロジェクトリーダーを担ったりしてきました。2018年に積水化学に転職し、現在はエレクトロニクス業界の調査、未来予測を行いながら、顧客のニーズに当社の様々な事業部の保有技術をマッチングさせて開発企画を行っています。業界はこれまでのキャリアと同じなので自分の経験、知見、人脈等が生かせる仕事だと捉えていますし、積水化学での業務を通じて前職、前々職の知人、上司、部下などと再会したり、仕事をしたりすることもあるので自分としては1つの軸の中で動いているという感覚があります。

2.あなたがこれまでに一番すごいと感じたイノベーションとは?

最近で言えばタクシーやライドシェアの配車サービスです。ようやく日本でも少しずつ普及してきましたが、海外では私が在住していた当時からスマホアプリを使ったタクシー配車サービスを利用するのが当たり前になっていました。スマートフォンでタクシーを呼ぶと来るまでの時間、車のナンバー、運転手の名前と顔が事前に分かり、リアルタイムで車の位置と自分の位置がアプリで確認できるので自分の位置を入力する必要がなく、また目的地を事前に入力しているため行き先を伝える必要もない。運転手にナビが自動表示され、予想到着時間が分かり、降車時に決済の必要もありませんし、到着したことを教えたい人に自動通知もできます。例えばこれを利用すれば子供一人でも乗車できるようになり、親が子供の送迎をするという概念もなくなるんです。この完璧なサービスを目の当たりにした時は驚きましたね。みんなが使っているスマホの持っているポテンシャルをアプリの力で引き上げたのはまさにイノベーションだと思いました

3.あなたがイノベーションに向けて挑戦していることを教えてください。

意識していることが3つあります。1つ目はスピードです。エレクトロニクス業界は競争が激しく動きがとても速いです。これに乗り遅れるとイノベーションどころか業界から置き去りにされてしまうので調査、判断、開発まですべてにおいてスピード感が必要になります。2つ目はパートナーシップです。材料単体ではできることが限られているので、材料メーカーは自社の材料を使っていただける顧客や設備メーカーなどとうまく協業する必要があります。人脈、情報経路、コミュニケーション能力などももちろん大切ですが、相手にメリットを感じ続けてもらうために意図を汲み取り積水化学の価値を発信し、提供し続けることが最も重要だと感じています。3つ目は“反対のことを考えてみる”ということです。例えば、供給が足りないという課題に対しては単に供給を増やそうとするだけではなく『消費を減らせないか?』、大型化を求められている時には『小さくても性能を倍出せればソリューションになるのではないか?』などと考えてみます。あのテスラ社はこの考え方を起点としてEVを普及させていきました。やはり常に反対方向も視野に入れて問題解決の方法を探る方がイノベーションにつながるのではないかと思います。これら3つのことを意識しながら、積水化学の素晴らしい技術力など良いところは伸ばし、変える必要があるところは変えていきたいです。

4.あなたのONOFFスイッチは?

コロナ禍で家にいることも多いので、家の庭をロックガーデンにするべくアガベやヤシの木を少しずつ集めてきて育てています。関西の観葉植物屋ではまだあまり見かけないので、ネットなどで安く入手して少しずつ増やしています。基本的に米国西海岸やメキシコなどの乾燥地帯の植物なので、水はけのよい土づくりから始めて乾かし気味に育てる必要があるのですが、大きくしたい気持ちからどうしても水を上げてしまいがちになり逆に痛めてしまったりしています(笑)。あとはミニチュア・ピンシャーという犬を2匹飼っており、散歩したりトレーニングしたりしています。庭で遊ばせていると育てているアガベを食べてしまい、相反する趣味なのかと複雑な気持ちになったことがあります。両方とも仕事とは全く関係のないことなのでON・OFFの切り替えにはなっていると思います。