FACES
1.これまでのご経歴と現在のお仕事について教えてください。
大学は法学部で法曹界を目指していましたが、結果が実らず就職活動をしていたところ積水マテリアルソリューションズ株式会社にご縁があり入社しました。入社後は営業畑一筋、日本国内で「機能樹脂事業部」の樹脂材料製品(エスレックB・K)を担当。当時は化学の知識もなかったので毎日必死で勉強し、残業も多かったですが遣り甲斐を感じる日々でした。その後積水化学へ移籍するのと同時に、北/中南米エリアの機能樹脂事業部の駐在員としてアメリカに赴任。海外で生活してみたいという人生の目標が叶い、多国籍社会での生活を通じて自分の人生観にも大きな影響がありました。帰国後は開発研の開発企画部へ異動し、マーケティング担当としてモビリティ分野を担当。昨年からイノベーション推進グループ長とモビリティグループを兼任しています。開発研究所、ひいては積水化学のイノベーション推進を加速するためのアイディアを実践中です。
2.あなたがこれまでに一番すごいと感じたイノベーションとは?
イノベーションとは「社会を変革すること」だと定義しているので、その点で日本や世界を変えた人物は興味深いです。特に同じ日本人の経営者として、松下幸之助氏を尊敬しています。様々な画期的な製品を世に生み出しただけでなく、後の日本的経営の礎を築いた経営手腕が素晴らしいと思います。マネシタ電器とも揶揄されたように、松下電器(現パナソニック)は決して華々しいプロダクトアウト型ではなく、 マーケットインで市場の課題をプロセスイノベーションで解決するところが興味深いですね。ただ模倣するのではなく、会社や社員に「使命」を説き、会社のビジョンを明確に指し示すことで会社を導く。さらに社員やお客様を「人」として捉え、常に経営の中心に「人」を意識しているところが素晴らしいなぁ、と。社会とはつまるところ「人」の集まりで、それを変えることが出来るのも「人」だと信じています。社会を「良く」変えるのは、「良い」会社で、それは「良い」人の集まりである、と考えたいですね。
3.あなたがイノベーションに向けて挑戦していることを教えてください。
「人」がイノベーションの中心である以上、自分の仕事は「いかに人と人を結びつけるか」だと思います。その意味で自分が関係する全ての人を良く知り、その人のためにどうすれば良いのかを考えています。例えば社員同士がお互いを知るきっかけを作るためにクリスマスパーティーなどのイベントや、社外の方を招いてのセミナーを企画したり。人事部門と連携しながら社内の関係性をより良いものにするための施策を考えています。どうやって会社に来たら楽しい、仕事が楽しいと感じてもらえるか?毎日のしごとを「やらなきゃいけない」から「やりたい」と思ってもらえるか?それがイノベーションを生み出すための重要な要素だと思っています。そのために、Give and Takeではなく「まずはこちらがGiveする」から始めればよいかな、と。見返りを期待せず、最初から結果を考えずに、まずは良い関係を築くこと。効率も大切ですが、効率を最重要視しない組織を作りたいと思っています。
4.あなたのON・OFFスイッチは?
アメリカに住むまでは仕事のために家族を犠牲にする生活が普通だと思っていましたが、北米での駐在時代に価値観が大きく変わりました。家族が元気で居てくれてこそ、自分が自分で居られるということを強く感じるようになったので、特に週末は家族と過ごす時間を大事にしています。また、以前可愛がってもらった社長から教えていただいた「60歳を過ぎてから趣味を探すのでは遅い。40歳くらいには「インドア」と「アウトドア」で一つずつ探しなさい。 それを20年やり込めば、会社を引退するころにはその仲間も増え、その道のある程度の腕前になっている」という言葉が印象に残ってます。運動ではゴルフとテニスをやっていますが、現在はインドアの趣味を焦って探しているところです。